「一人だけで苦しまないようにしたいんです」
取材の中で、技術部部長のTさんと工務課課長のIさんがそう話す場面がありました。
家づくりの現場では、予定通りに進むことばかりではありません。
判断に迷うこともあれば、初めての工事に向き合うこともあります。
だからこそ、誰か一人が抱え込むのではなく、周りが気づいて声をかけ、一緒に動く。
その姿勢は、ヤマタで長年家づくりに携わってきたTさんと、工務課課長のIさんが大切にしてきたことでもあります。
今回は、長年ヤマタの家づくりを支えてきたTさん・Iさんのおふたりに、
これまでの現場での経験や若手社員への思い、55周年を迎えたヤマタのこれからについて、話を聞きました。
人数が少なかった頃のヤマタ
I さんがヤマタに入社したのは、今から約27年前。
創業社長に声をかけられて入社しました。
当時は今ほど社員数が多くなく、社員同士の距離がとても近い会社でした。
「社員は6人ほど。誰が現場から帰ってきていないか、すぐに分かるような会社でした。」とIさんは話します。
相談を受ければ、自分の担当ではない現場でも一緒に見に行く。
誰かが困っていれば、手伝いに行く。
人数が少ないからこそ、互いの状況が見えやすく、助け合うことが日常のまんなかにありました。
Tさんが入社した2016年頃も、今と比べると社員数は少なく、20人ほど。
そこから会社は大きく変化していきました。
店舗や事業の拡大とともに社員数も増え、組織のあり方も大きく変わってきました。
「どんどん新しい人が入社されて。本当に急に変わりました。」とTさん。
Iさんは「常に顔が見える範囲ではなくなったからこそ、『困った時は言ってね』 『一人で苦しむなよ』と声をかけることを意識しています。」と話します。
人数が増えても、困っている人がいたら気付いてあげたい。
変わらない思いが伝わってきました。

応援し合う、ヤマタの技術部
ヤマタの技術部には、工務、設計、積算など、家づくりを技術面から支えるさまざまな仕事があります。
TさんとIさんは担当する業務が異なるため、同じ技術部でも一緒に仕事をする機会はほとんどありません。
そんな中でも、Tさんの心に今も残っているのが、入社して間もない頃のIさんとのエピソードです。
「入社してまだ1年ほどだった頃のことが、今でも印象に残っています。
現場での急ぎの仕事がなかなか終わらなかった日、Iさんから電話があって。
まだ仕事が終わっていないことを伝えると、4~5人の社員と一緒に応援に来てくれました。」
応援し合うことがたくさんあったと、お互いの顔を見合わせて振り返るふたりでした。

経験が力に、応援が絆に
印象に残っている現場について聞くとIさんは
「苦労した現場は、特に印象に残っています。」と話します。
初めて担当する仕事で段取りが分からず、何度も確認をしながら進めた仕事。
事故を防止するために、多くの知識が必要でたくさん勉強した仕事。
そうした仕事は、何百件も担当してきた現場の中でも強く印象に残っていました。
Tさんも
「なんとか乗り切れたな、と思う仕事ほど学びが多くて印象に残っていますし、次の仕事に活きるんです。」
とゆっくりうなずきます。
そして、ふたりにとって一番印象に残っているのは、「鳥取砂丘ステイション」のオープンに向けた工事です。
ヤマタは「ヤマタ鳥取砂丘ステイション」オープンに向けて、鳥取県・鳥取市と基本協定を締結。
2024年4月、鳥取砂丘西側エリアにて、「グランピング」「フリーサイトキャンプ場」「ゲストハウス」の3つからなる複合施設「ヤマタ鳥取砂丘ステイション」をオープンしました。
「会社としても初めて自社で宿泊施設を手がける、大きな一歩でした。オープン日が決まっているなか、初めて経験する仕事を進めていくのは大変でした。最初から最後まで担当させてもらい、みんなに手伝ってもらった、本当に思い入れのある現場です。」とTさん。
Iさんも「社員総出で、色んな部署の人と応援にいきました。秋には草刈りに、冬には除雪に…。色塗りにも、社員みんなで行きました。応援に行っていない人が思いつかないくらい、全員が関わりましたね。」と話します。
会社としての規模が大きくなっても、みんなで支え合うところは変わらない。
ふたりの心に一番強く残っているのは、みんなでやりきった仕事でした。

一人で抱え込ませない
管理職として若手社員と接するときに意識していることを聞くとTさんは
「一人で苦しませないようにしたいんです。」と話します。
Iさんも「一人で悩んでいないか、声をかけることを意識していますね。」と続けます。
「誰かが応援に行くし、自分も行く。
見えていないところで一人だけで苦しむなと、伝えるようにしています。」とTさん。
一方で、若手社員同士が助け合う姿に頼もしさを感じているといいます。
年齢が近いからこそ相談しやすいこともある。
互いに声をかけ合い、一緒に現場に行っている様子を見て、結束力を感じているといいます。
「若手が一つひとつのことに悩みながらも、助け合って仕事を進めていて、ヤマタのいいところだなと
感じています。そうして若手同士で進めて、どうにもならない時はぼくらに聞いてもらえたら。」とTさん。
協力し合う若手同士を見守り、必要とされる時には全力で支えたい。
ほほ笑みながら話すふたりでした。

若手社員に伝えたいこと
若手社員について、二人は「優秀」と口をそろえます。
特に感じているのは、情報を調べる力や、新しいものを取り入れる力の高さです。
TさんやIさんは、上司や職人さんから現場で教わり、経験を積みながら仕事を覚えてきました。
一方で今の若手には、インターネット等で必要な情報を素早く調べ、仕事に生かせる環境があります。
「調べるのも早いし、活用も上手。効率がいいと思います」
と話すTさんは、今のやり方について若手に聞くことも多くなったそう。
Iさんは「前はこうだった、と押し付けないようにしていきたいです。」と話します。
ふたりとも、自分たちのやり方を押しつけないことを意識しています。
ただし、現場に向き合い続けてきたからこそ、「これだけは伝えたい。」と思うことがあるそうです。
「技術部の仕事には、今も昔と変わらず効率的にはできない、どろくさい作業もたくさんあります。
『こんなことまでするの?』と思うようなこともあるかもしれません。
でも、私たちは命と財産を守る仕事をしているんです。お客様は、私たちを信頼して任せてくれているんです。
しっかりした家を、作っていかないといけない。そこは若手に伝えていきたいです。」とTさん。
Iさんも「仕事へ向き合う気持ちも大切です。人間なので、横着したい気持ちになることもあるかもしれないですが、自分がされて嫌なことは絶対にしてはいけません。見えないところに手を抜かず、しっかり管理することが重要だと常々思っています。」と続けます。
「思いがかたちになる。すべては気持ちからだと思います。」
そうTさんが話すと、Iさんも深くうなずきました。

創業社長から受け継ぐ、お客様への向き合い方
今年55周年を迎えたヤマタ。
お二人に、ヤマタが続いてきた理由も聞いてみました。
「創業社長は、お客様から家のことで『困っている』と連絡があると、どんな時もすぐ駆け付ける人でした。
何度も一緒にお客様の家にかけつけた思い出があります。」と話すIさん。
当時は、なぜそこまですぐに駆けつけるのか分かっていなかった、と振り返ります。
仕事を任されることが増え、自分もそうするようになっていました。
「目の当たりにしてきた創業社長の精神を、受け継いでいきたいです。」
Tさんは「ヤマタが地元で信頼され、55周年を迎えることができたのは、創業社長の代からずっとお客様に『正直』 に向き合い続けてきたからだと思います。これからも、うちの会社を信頼して任せてくれたお客様に正直に向き合って、本当によろこんでもらえる家を作っていきたいです。」と力強く話してくれました。
会社の規模が大きくなり、組織としての体制は変化してきました。
それでも、根本にある「お客様のために」という思いは変わりません。
時代に合わせて働き方や仕組みは変わっていく。
けれど、お客様に向き合う姿勢は受け継いでいく。
そこに、55年続いてきたヤマタのあり方が見えてきました。

社員にもっと、ヤマタの家を見てほしい
最後に、これからのヤマタについて聞きました。
Tさんは、「社員にもっと、ヤマタの家を見てほしい。」と話します。
家づくりに直接関わる社員だけでなく、広報、事務、店舗スタッフなど、さまざまな立場の社員に、どんどんヤマタの家を見てほしい。
それは、知識を身につけるためだけではありません。
「実際に家づくりに関わる職種ではない社員にも、ヤマタのモデルハウスや現場に『一緒に見に行こう』と言える会社にしたいなと思っています。
家づくりに詳しくない人の感覚も大切。
専門的なことは分からなかったとしても、『いい家だなぁ』と感じてほしいし、よくないところがあったら気負わずに周りの社員に話してもらいたい。
そうして、もっともっとアットホームな感じで家を見てもらって、ヤマタがどんな家を作っているのか知ってもらって・・・友人にも見てもらいたくなって、一緒に来てもらえるくらいになったらうれしい。
ここで働くモチベーションが、『いい家を建てているから』だったらいいなと思います。」
社員自身がヤマタの家を見て、感じて、好きになる。
もっと素敵な家になるように、伸びしろに気が付いたらなんでも話す。
そうして、自信を持って最高の家をお客様に届けたい。
素直な気持ちを話すTさんのそばで、うん、うんとゆっくり頷くIさんでした。
未来につながる、大切にしてきた思い
最後に、お互いへのメッセージを聞きました。
「Tさんには、『働きすぎんな』って言いたいです。」とIさん。
「よく仕事をする人だと知っています。あまり周りにパスを出さない人だからこそ、
もう少し息を抜くところは抜いてほしいな。Tさんにしかできないこともあるけど、体をいたわってほしいです。」
あたたかい口調で言葉をかけるIさんに、Tさんはほほ笑みながら耳を傾けます。
そして、TさんはIさんへ、こう伝えました。
「本当に、今のままでおってほしいです。仕事と私生活をバランスよく楽しめる人で、そのスタイルや人柄が、
年下から年上まで、みんなに愛されている。ヤマタの宝だと思います。これから会社を引っ張っていく人として、
このまま走っていってもらえたら。」
お互いを大切に思うふたりのやりとりから、長年ともに歩んできたからこその深い信頼が感じられました。
一緒に働く仲間を大切にすることも、お客様に正直に向き合うことも、すべてはヤマタの家づくりへとつながっていく。
ふたりが大切にしてきた思いは、未来のヤマタの家づくりにも、受け継がれていきます。
